周りの奴らよりも少し早く
煙草に手を出したガキんちょ

むせるわ
舌ピリピリするわ
目は染みるわで

こんなモンのどこがいいんだと思いながら
それでもカッコつけて少しずつ吸って

咽喉も舌も目も
その度に少しずつ慣れていった

ニコチンに塗れた髪の
ガキんちょは
生意気に甲子園なんて目指していて

それがこの手で掴めそうになると
いつの間にか
煙草を吸うのを控え始めた

なあガキんちょ

お前、自分が甲子園行きたくて
ニコチン飲むの止めたんか

それとも
誰かを甲子園に連れて行きたくて
それで止めたんか

お前は誰かの為に
何かを我慢出来る程
大人だったんか

なあガキんちょ

お前が
そんな自分もたまにゃあいいさって
思ったあの日から

オレの手元の箱ん中は
一本の煙草も減っちゃいねぇよ

今じゃあ口にちっと銜えただけで
舌がピリピリしてたまんねぇ

煙草の先から幻覚の煙を見て

オレはまた箱の中にそいつを戻した




        二00三・八月十九日

























[たまにはいいじゃないか]

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